あれは十数年前のとある夜。
自身のブーツの足音が雑踏を離れリズムを刻む。
酒瓶を片手に、訪れた事のない街を彷徨うように歩く。
どこへ行くのか、どこへ向かうのかを決めない。
瓶酒を飲み干す頃に、初めて訪れるBarへと入ってみる。
薄暗い店内。
都会の片隅にある。
何を話したのか。
店主は、こちらに人生話をしてくれた。
答えが欲しい訳ではないが、店主の言葉は優しかった。
今でもその街の印象の1つはその記憶。
ただ彷徨うように、その言葉が聴きたくて導かれたのか。